Neil Young - Ragged Glory
NYAでアナログ録音の存在することがあきらかになっていたRagged Gloryに、ついにハイレゾ盤が出ました。24bit/192kHzです。Official Release Series 5のリリースに合わせて、NYA Hi-Res Storeでも利用可能になっています。
一聴しただけで、これまでのCD盤と全然違うのがわかります。
こちらは今回のハイレゾ盤
CDのほうは、あたりまえですが20kHzあたりから上が欠落しているのがわかります。あと、低音も結構違います。例によってNeil Youngの声が全然違うのと、ギターの音もより細かな音の表情が聴きとれるようになっています。
1990年というCD全盛の時代にアナログ録音されていたのは奇跡ですね。個人的にRagged Gloryは90年代以降のNeil Youngの最後の傑作かなと思っていて、それが聴きごたえ十分の情報量になり大満足の一枚となりました。ちなみに、Official Release Series 5に含まれているほかのアルバム、Freedom, Weld, ARCは、見事にCDマスターしか残っていないようで、Eldoradoのときのような24bit/44.1kHz盤も今回はないようです。
Neil Young - The Ducks - High Flyin'
Neil YoungのOfficial Bootlegシリーズも、ようやく当初アナウンスされていたタイトルが出そろいました。今回出たのはSomewhere Under The Rainbowと、The Ducks名義のHigh Flyin'です。まずはこれまでまったく聴いたことのなかったThe Ducksを聴いてみようと思い、High Flyin'を入手しました。
4人のメンバーがそれぞれ楽曲を持ち寄ってということなので、Neil Youngの曲自体は少ないですが、エレキアレンジのLittle Wingが素晴らしいし、ほかのメンバーの曲もNeil Youngのギターを堪能できるので文句なしです。
今回はなぜか24bit/192kHzではなく24bit/176.4kHzです。サンプルレートの自動切換えに対応してない環境だとちと面倒ですが、音は申し分なしに素晴らしい。Neil Youngの声はCDで聴くのとハイレゾで聴くのとで全然違うのですが、今回もちゃんとハイレゾで聴ける声が聴けます。Neil Youngの楽曲は、2000年代初めころにマスタリングしたものは24bit/176.4kHzのものが多いので、おそらくそのころにマスタリングされたのかと。
なお、同時発売のSomewhere Under The Rainbowのほうは今のところ様子見中です。NYAで聴いたところ、あきらかにオーディエンス録音でBottom Lineよりも音が悪そうだったので・・。
Neil Young - Citizen Kane Jr. Blues 1974 (Live At The Bottom Line)
Neil Youngの有名なBootlegのひとつ、Live At The Bottom Lineが、Official Bootleg Seriesとして正式に登場しました。といっても、オーディエンスレコーディングのままなので、音質的には従来のブート盤と大差なしでした。
たとえば2曲目のLong May Your Runの波形を見てみると、こんな感じです。左が今回のOBSで、右がもともと持っていたブート盤。
トラックの切り方が少し違うので、曲の最初と最後の違いは無視すると、よく似通っているのがわかります。
Bottom Lineは大好きなブートだったので、正規の盤として出たのはうれしい限りです。
Neil Young - Eldorado
もともと日本とオーストラリアだけで出ていたミニアルバムのEldoradoが、Official Release Series #4の発売にあわせて、NYAはじめ各種のダウンロード販売サイト、配信サイトに出てきました。NYA Hi-Res Storeはじめ、ハイレゾダウンロードサイトでは24bit/44.1kHzで売られています。もともとデジタル録音で16bit/44.1kHzマスターのはずなので、たいして音は変わっていないだろうなと思いつつ、NYA Hi-Res Storeでポチってさっそく聞いてみました。
国内盤は以前から持っていたのでそれと聴き比べてみたところ、基本一緒でした。情報量は一切変わらないし、たぶんマスターも完全に一緒。タイトルトラックのEldoradoの波形を見てみたら、ぱっと見だと同じに見えました。
国内盤を持っていたら、今回はスルーでもいいかも?
そういえば、NYA Hi-Res Storeは、一見するとオフィシャルストアなのに一部のアルバムが売られていないように見えます。たとえば今時点でみると、HarvestやEverybody Knows This Is Nowhereが出てきません。でも、検索するとちゃんと出てきます。今回のEldoradoも同様でした。NYA Hi-Res Storeは、NYAの会員であればとにかく安いので、Neil Youngファンで物理媒体にこだわらない方ならお勧めです。
Neil Young - Trans
本家のNeil Young Archives (NYA) でも長らくハイレゾ音源が出ていなかったTransが、昨年の年末ころにようやくHDTracksやQobuzで出てきました。確認していませんが、おそらくAmazon Music HD等のストリーミング系にも登場しているのではないでしょうか。ただ、本家のNeil Young ArchivesおよびNYA Download Storeでは、現時点でも登場していません。Neil Youngのアルバムは基本的にはWarner/Repriseから出ているのですが、Transを含む80年代の何枚かはUniveral/Geffinから出ています。おそらくそのあたりの契約か何かの制約なんでしょう。年末あたりに、NYA内の記事で、Universalとの話がまとまって年明け早々にNYAでもハイレゾ音源が利用可能になると話が出ていましてが、2月頭現在でいまだ実現せずです。
私の場合は、昨年末にしばらく様子を見ていましたが、NYAの方では一向に出る気配がないので、HDTracksでセールしているときにしびれを切らして入手しました。
TransはCDでもマスタリングが良かったので、ハイレゾでも総評としてはまあこんなものかなという感じでしたが、アルバム代表曲ともいえるSample And Holdはびっくりするくらいの違いがありました。まず録音が違う。どうもハイレゾ盤のほうは当時のアナログレコード盤のマスターをベースにしているらしく、もともとアナログレコードとCDとでSample And Holdのバージョンが違っていたそうです。一聴してしてイントロが違うし、曲の長さも違う。CDのほうは、8:04なのに対して、ハイレゾ=アナログレコードのほうは5:14と短めです。音の違いは冒頭のギターに如実に出ていて、CDのべチャっとした音に比べて、ハイレゾの方はピッキングごとの一音一音がしっかり聴こえるような高解像の音を聴けます。
待ちに待ったTransのハイレゾ音源で大満足ですが、できればCDバージョンのSample And Holdもハイレゾで聴いてみたい。NYAから出てくるときはそちらも出してくれないかな?と淡い期待をしています。
[2022/2/20]
NYAでもハイレゾTransが登場しました。CD Mixの3曲がBonus Track的に公開されていますが、これら3曲は16bit/44.1kHzでした。
Wilhelm Furtwängler - Beethoven: Symphony No.9 "Choral"
Furtwänglerの第9、初めて聴いたのはEMIのThe Great Recordings Of The Centuryでした。その後、2010年か2011年ごろにリマスタリングしたと思われる24bit/96kHzの音源をPresto Musicで購入しました。さらにその後、2021年にWarnerから出ていたFurtwänglerのEMI系音源の全集からの分売で24bit/192kHz音源が出ていたので、あらためてPresto Musicで購入しなおしました。
The Great Recordings Of The Century盤
20世紀の終わりか21世紀の始まりころ、ちょうどクラシックをよく聴くようになったころにCDで購入しました。それまではクラシックのCDはせいぜい古くても70年代くらいの録音までしか聞いたことがなかったので、ノイズだらけで音も悪くてびっくりしたのを覚えています。当時は、これでもだいぶノイズが減ったとレビュー等で書かれていたような。この盤は手放してしまったのでうろ覚えですが、ほかのARTリマスタリングされたThe Great Recordings Of The Centuryシリーズと同じく、金管がくすんだような音、とでもいうのでしょうか、良くも悪くもテープからおこしました、という感じの音だったように思います。CDは入手が困難になっていると思いますが、今はStreamingで聴けると思うし、Presto musicでも取り扱いがあります。まあ、今これをあえて選ぶ必要はないかな。
24bit/96kHzリマスタリング盤
ネット上の情報によると2010年か2011年ころにリマスタリングされたもののようです。リマスタリングを担当したのがAbbey Road Studiosのようで、音の傾向としてはThe Great~と同じだったと記憶しています。スペクトル表示を見ると高周波ノイズがけっこう乗っているのが分かります。また、このマスタリングからSACD盤が出ているようですが、元が24bit/96kHzのPCMなので、DSD/SACDに変換していることになります。なのでこれを聴くなら、SACDじゃなくて24bit/96kHzのダウンロード販売しているものをゲットした方が、より元のマスタリングの音を聴けると思います。
2021年 24bit/192kHzリマスタリング盤
ここ数年、Warner Classicsは、EMI獲得で得た、EMI/Angel/Pyeの古い音源を片っ端からハイレゾリマスタリングして、ボックスセットCDで出した後にアルバム単位でストリーミング&ハイレゾ販売してくれています。ハイレゾ販売もたいてい激安なのでおすすめ。EMI時代のThe Great~シリーズで出ていたアルバムとけっこうかぶるので聞き比べてみると面白いです。レコード会社が変わったからなのか、最新のリマスタリング・ノイズ除去技術のおかげなのか、音の傾向がガラッと変わっていて、より臨場感のある(テープからおこしました感のない)音になっています。Furtwänglerの第9もご多分にもれず、見違えるような音になりました。ただ、それがもとのマスターテープに入っていた音なのか、それともデジタル技術で加工された音なのかはわかりません。でも聴きやすいことにはかわりないので、これから聴くならこの盤を選べば間違いなしです。旧リマスター盤を持っている人にもお薦め。24bit/96kHzリマスタリング盤ほどではないけど、こっちも高周波ノイズが乗ってます。
音楽ファイルのタグ管理
年末年始に、家にある音楽ファイルを徹底的に整理したので、備忘をかねて整理方法を記載しておきます。
基本方針
音楽ファイルはUPnPサーバーのMinimServerで管理しつつ、持ち運び用にスマホ(Android, iPhone)にも転送できるようにします。 MinimServerはカスタマイズして任意のタグでメニュー階層を定義できるので、主にクラシック用にタグを追加して付加情報を埋め込みつつ、スマホ上の再生アプリでもきちんと情報が見れるよう、標準的なタグにも情報を設定していきます。
また、クラシックとポピュラー音楽で管理したい情報がまったく違うので、無理に統合はせず、別々のルールでタグ情報を設定します。
ポピュラー音楽用ルール
ポピュラー音楽はあまり難しいことを考えずに、標準的なタグを使って以下のような感じで設定します。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Popular |
ALBUMARTIST | Neil Young |
ARTIST | Neil Young |
ALBUM | Tonight's The Night |
TITLE | Borrowed Tune |
DATE | 1975 |
TRACK | 4 |
DISKNUMBER | 1 |
GENREタグは、私の場合は ”Popular" とひとまとめにしていますが、もっと細分化するのもありだと思います。個人的には、細分化するとMECE感がなくなる気がして気持ち悪いので、"Popular" でまとめちゃっています。DATEタグについては、得られる情報およびアルバムの性質に応じて、リリース年/年月日、録音年/年月日を設定します。基本はリリース年/年月日を設定して、掘り出し音源集やベスト系は、わかる場合は録音年月日を設定します。あとは、COMPOSERタグを設定するのもありですが、私の場合はCOMPOSERはクラシック音楽の方で活用したいためポピュラー音楽のファイルは一律でブランクにしています。
ポピュラー音楽で応用的な設定が必要になるのが、ボックスセット系です。たとえば、Neil YoungのArchivesシリーズや、David Bowieのボックスセットシリーズ、PrinceのSuper Deluxe Edition系などです。これらのケースでは、ALBUMにボックスセット名を設定して、GROUPタグにディスク名 (もしくはボックスかセットに含まれている個別のアルバム名) を設定します。MinimServer的には、DISCSUBTITLEというタグにも対応していますが、これを使うと階層が深くなっちゃうので、あえて使いません。GROUPタグを使えば、MinimServer上での階層は、Album (ボックスセット名) > Group (ディスク名) と辿れるようになります。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Popular |
ALBUMARTIST | Neil Young |
ARTIST | Neil Young |
ALBUM | Archives Vol.2 |
GROUP | Everybody's Alone (1972-1973) |
TITLE | Time Fades Away |
DATE | 1972-12-15 |
TRACK | 4 |
DISKNUMBER | 1 |
GROUPタグについては、上の例だと "Archives Vol.2: Everybody's Alone (1972-1973)" や "Archives Vol.2 - Everybody's Alone (1972-1973)" とするのもありだと思います。私の場合は2度同じことを書くのが嫌なので、上記のようにしつつ、MinimServer上でカスタマイズしてGroupを "[TITLE] - [GROUP]" と表示するようにしています。これについては後述します。
クラシック音楽用ルール
さて、ここまでが単純化された理想的な世界の話。ここからはタグ管理の沼にはまっていきます。
クラシック音楽の場合、アーティストとして、作曲家 (Composer) と演奏者 (Performer) をわけて管理したくなります。さらに演奏者は、指揮者 (Conductor)、オケ (Orchestra)、アンサンブル (Ensemble)、ソリスト (Soloist)などに分かれます。これらを管理するために、標準的タグはもちろん使いつつ、カスタムのタグをばんばん追加します。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Classical |
ALBUMARTIST | Iván Fischer |
ARTIST | Iván Fischer |
ALBUM | Bartók - Orchestral Music (FIscher, Budapest FO) |
TITLE | 3 Village Scenes - 1. Wedding |
DATE | 1997 |
TRACK | 1 |
DISKNUMBER | 1 |
COMPOSER | Bartók Béla |
CONDUCTOR | Iván Fischer |
ORCHESTRA | Budapest Festival Orchestra |
SOLOIST | |
ENSEMBLE | |
WORK | 3 Village Scenes Falun Sz. 79, BB 87b |
わかりにくいと思うので以下補足。
- GENRE Classical/Opera/Balletに分類。ここはお好みでもっと細かく分けてもOK
- ALBUMARTIST, ARTIST アルバム・曲ごとのメインの演奏者名をセット。メイン奏者が2~3人の場合は "," で区切って並べる。それ以上多くなる場合は、あきらめて "Various Artists" をセット
- ALBUM [アルバム名]の後に、[指揮者]/[ソリスト]/[オケ]/[アンサンブル]の名称をカッコつきで加える。これは、クラシックの場合は演奏者違いで同じアルバム名のものが大量にあるからです。あと、Beethoven: Symphony No.9 "Choral" みたいなケースでは、 ":" は見落としがちなので " - " に変換し、"No. " は一律で "#" に変換します。この辺りはお好みで
- TITLE "[作品名] - [楽章]" みたいな感じで、 " - " でつなぎながら、大きな括りの名称から小さな括りの名称をつなげていきます。たとえば、”Symphony #1 in D 'Titan' - 1. Langsam. Schleppend. Wie ein Naturlaut" や "Das Lied von der Erde - Das Trinklied vom Jammer der Erde"、"Wozzeck - Act 1. Langsam, Wozzeck, langsam!" など。
- COMPOSER 作曲家名をセット
- CONDUCTOR 交響曲、管弦楽曲系は指揮者をセット
- ORCHESTRA 交響曲、管弦楽曲系は楽団名をセット
- SOLOIST ソナタ、協奏曲など、ソリストがいる場合はソリスト名をセット
- ENSEMBLE 弦楽四重奏曲における弦楽四重奏団など、アンサンブルがいる場合は、アンサンブル名をセット
- WORK 作品名をセット。作品番号はお好みに応じて。私の場合、Bartók が好きなので Bartók の楽曲だけはしっかり作品番号も記載して、複数録音を持っている場合に完璧に名寄せできるようにしています。
WORKタグはiOS系デバイスに持っていくと、作品名とみなして自動でWORKタグをもとにグルーピングしてくれるのですが、曲名を変に加工しちゃうので、気になる場合はCOMPOSITIONタグあたりにするといいかも。あとは、CHORUSタグを追加して合唱団をセットしても良いかもしれません。楽曲によってはソリストが複数人いるようなケースがあると思います。そういった場合は、SOLOISTタグを2つ追加してそれぞれのソリストをセットします。私の場合、同一タグの複数追加はmp3tagでやっていますが、他のタグ管理ツールでも普通にできると思います。
MinimServer上での設定
さて、ここまでタグを管理しても、使わないことには意味がありません。しっかり活用できるようMinimServer側の設定を整えます。
indexTags = Genre, Artist, All Artists, Composer, Conductor, Orchestra, Ensemble, Soloist, Work, #AudioQuality:Audio Quality, Date itemTags = Album, Group mergeFolderAlbums = true tagFormat = Group.displayFormat={$album^$group^ - } tagOptions = Date.yearOnly.index, items.sortTags={Album, TrackNumber}
indexTagsで、設定したタグでブラウズできるように設定しています。tagFormatでは、上述したとおり、Group名の表示を "[ALBUM] - [GROUP]" とする設定をしています。あとは、DATEタグについては、年月日で値が入っていても、年だけでブラウズできるようにしています。
この設定によって、UPnPのコントローラーで見ると、たとえば、[Genre] > [Classical] > [Composer] > [Bartók Béla] > [Work] > [Mikrokosmos Sz. 107, BB 105] > [Soloist] > [György Sándor] と辿っていて、お目当ての音楽を再生する、といったことができるようになります。
UPnPのコントローラーでMinimServerを見に行くと、下の画像のようになります。ここからお好みで階層を辿って行けば、快適音楽ライフが待っています。
スマホへの転送
スマホ上の音楽再生アプリは、大抵カスタムで追加したタグには対応してないので、標準のタグに頼るしかありません。でも、基本的には、上で設定したタグ情報そのままでOKです。唯一の例外はボックスセット用の設定です。ボックスセット内の個別のディスク/アルバムをスマホ上で個別のアルバムとして表示したい場合は、アルバム名を "[ボックスセット名] - [ディスク名]" などに直して転送する必要があります。GROUPタグがALBUMタグの上位階層として振る舞ってくれれば、こんな事はしなくて済むのですが、MinimServer上は逆の階層として扱われるのでやむなしです。
また、iPhoneのように高ビットレートに対応していない端末や、容量に制限がある端末には、ハイレゾ音源はダウンサンプリングして転送します。その場合はオリジナルのファイルと混同しないよう、"Station To Station [24bit/48kHz]" といったようにアルバム名の最後にビット深度+ビットレート情報を追記します。