音楽ファイルのタグ管理
年末年始に、家にある音楽ファイルを徹底的に整理したので、備忘をかねて整理方法を記載しておきます。
基本方針
音楽ファイルはUPnPサーバーのMinimServerで管理しつつ、持ち運び用にスマホ(Android, iPhone)にも転送できるようにします。 MinimServerはカスタマイズして任意のタグでメニュー階層を定義できるので、主にクラシック用にタグを追加して付加情報を埋め込みつつ、スマホ上の再生アプリでもきちんと情報が見れるよう、標準的なタグにも情報を設定していきます。
また、クラシックとポピュラー音楽で管理したい情報がまったく違うので、無理に統合はせず、別々のルールでタグ情報を設定します。
ポピュラー音楽用ルール
ポピュラー音楽はあまり難しいことを考えずに、標準的なタグを使って以下のような感じで設定します。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Popular |
ALBUMARTIST | Neil Young |
ARTIST | Neil Young |
ALBUM | Tonight's The Night |
TITLE | Borrowed Tune |
DATE | 1975 |
TRACK | 4 |
DISKNUMBER | 1 |
GENREタグは、私の場合は ”Popular" とひとまとめにしていますが、もっと細分化するのもありだと思います。個人的には、細分化するとMECE感がなくなる気がして気持ち悪いので、"Popular" でまとめちゃっています。DATEタグについては、得られる情報およびアルバムの性質に応じて、リリース年/年月日、録音年/年月日を設定します。基本はリリース年/年月日を設定して、掘り出し音源集やベスト系は、わかる場合は録音年月日を設定します。あとは、COMPOSERタグを設定するのもありですが、私の場合はCOMPOSERはクラシック音楽の方で活用したいためポピュラー音楽のファイルは一律でブランクにしています。
ポピュラー音楽で応用的な設定が必要になるのが、ボックスセット系です。たとえば、Neil YoungのArchivesシリーズや、David Bowieのボックスセットシリーズ、PrinceのSuper Deluxe Edition系などです。これらのケースでは、ALBUMにボックスセット名を設定して、GROUPタグにディスク名 (もしくはボックスかセットに含まれている個別のアルバム名) を設定します。MinimServer的には、DISCSUBTITLEというタグにも対応していますが、これを使うと階層が深くなっちゃうので、あえて使いません。GROUPタグを使えば、MinimServer上での階層は、Album (ボックスセット名) > Group (ディスク名) と辿れるようになります。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Popular |
ALBUMARTIST | Neil Young |
ARTIST | Neil Young |
ALBUM | Archives Vol.2 |
GROUP | Everybody's Alone (1972-1973) |
TITLE | Time Fades Away |
DATE | 1972-12-15 |
TRACK | 4 |
DISKNUMBER | 1 |
GROUPタグについては、上の例だと "Archives Vol.2: Everybody's Alone (1972-1973)" や "Archives Vol.2 - Everybody's Alone (1972-1973)" とするのもありだと思います。私の場合は2度同じことを書くのが嫌なので、上記のようにしつつ、MinimServer上でカスタマイズしてGroupを "[TITLE] - [GROUP]" と表示するようにしています。これについては後述します。
クラシック音楽用ルール
さて、ここまでが単純化された理想的な世界の話。ここからはタグ管理の沼にはまっていきます。
クラシック音楽の場合、アーティストとして、作曲家 (Composer) と演奏者 (Performer) をわけて管理したくなります。さらに演奏者は、指揮者 (Conductor)、オケ (Orchestra)、アンサンブル (Ensemble)、ソリスト (Soloist)などに分かれます。これらを管理するために、標準的タグはもちろん使いつつ、カスタムのタグをばんばん追加します。
タグ | 設定例 |
---|---|
GENRE | Classical |
ALBUMARTIST | Iván Fischer |
ARTIST | Iván Fischer |
ALBUM | Bartók - Orchestral Music (FIscher, Budapest FO) |
TITLE | 3 Village Scenes - 1. Wedding |
DATE | 1997 |
TRACK | 1 |
DISKNUMBER | 1 |
COMPOSER | Bartók Béla |
CONDUCTOR | Iván Fischer |
ORCHESTRA | Budapest Festival Orchestra |
SOLOIST | |
ENSEMBLE | |
WORK | 3 Village Scenes Falun Sz. 79, BB 87b |
わかりにくいと思うので以下補足。
- GENRE Classical/Opera/Balletに分類。ここはお好みでもっと細かく分けてもOK
- ALBUMARTIST, ARTIST アルバム・曲ごとのメインの演奏者名をセット。メイン奏者が2~3人の場合は "," で区切って並べる。それ以上多くなる場合は、あきらめて "Various Artists" をセット
- ALBUM [アルバム名]の後に、[指揮者]/[ソリスト]/[オケ]/[アンサンブル]の名称をカッコつきで加える。これは、クラシックの場合は演奏者違いで同じアルバム名のものが大量にあるからです。あと、Beethoven: Symphony No.9 "Choral" みたいなケースでは、 ":" は見落としがちなので " - " に変換し、"No. " は一律で "#" に変換します。この辺りはお好みで
- TITLE "[作品名] - [楽章]" みたいな感じで、 " - " でつなぎながら、大きな括りの名称から小さな括りの名称をつなげていきます。たとえば、”Symphony #1 in D 'Titan' - 1. Langsam. Schleppend. Wie ein Naturlaut" や "Das Lied von der Erde - Das Trinklied vom Jammer der Erde"、"Wozzeck - Act 1. Langsam, Wozzeck, langsam!" など。
- COMPOSER 作曲家名をセット
- CONDUCTOR 交響曲、管弦楽曲系は指揮者をセット
- ORCHESTRA 交響曲、管弦楽曲系は楽団名をセット
- SOLOIST ソナタ、協奏曲など、ソリストがいる場合はソリスト名をセット
- ENSEMBLE 弦楽四重奏曲における弦楽四重奏団など、アンサンブルがいる場合は、アンサンブル名をセット
- WORK 作品名をセット。作品番号はお好みに応じて。私の場合、Bartók が好きなので Bartók の楽曲だけはしっかり作品番号も記載して、複数録音を持っている場合に完璧に名寄せできるようにしています。
WORKタグはiOS系デバイスに持っていくと、作品名とみなして自動でWORKタグをもとにグルーピングしてくれるのですが、曲名を変に加工しちゃうので、気になる場合はCOMPOSITIONタグあたりにするといいかも。あとは、CHORUSタグを追加して合唱団をセットしても良いかもしれません。楽曲によってはソリストが複数人いるようなケースがあると思います。そういった場合は、SOLOISTタグを2つ追加してそれぞれのソリストをセットします。私の場合、同一タグの複数追加はmp3tagでやっていますが、他のタグ管理ツールでも普通にできると思います。
MinimServer上での設定
さて、ここまでタグを管理しても、使わないことには意味がありません。しっかり活用できるようMinimServer側の設定を整えます。
indexTags = Genre, Artist, All Artists, Composer, Conductor, Orchestra, Ensemble, Soloist, Work, #AudioQuality:Audio Quality, Date itemTags = Album, Group mergeFolderAlbums = true tagFormat = Group.displayFormat={$album^$group^ - } tagOptions = Date.yearOnly.index, items.sortTags={Album, TrackNumber}
indexTagsで、設定したタグでブラウズできるように設定しています。tagFormatでは、上述したとおり、Group名の表示を "[ALBUM] - [GROUP]" とする設定をしています。あとは、DATEタグについては、年月日で値が入っていても、年だけでブラウズできるようにしています。
この設定によって、UPnPのコントローラーで見ると、たとえば、[Genre] > [Classical] > [Composer] > [Bartók Béla] > [Work] > [Mikrokosmos Sz. 107, BB 105] > [Soloist] > [György Sándor] と辿っていて、お目当ての音楽を再生する、といったことができるようになります。
UPnPのコントローラーでMinimServerを見に行くと、下の画像のようになります。ここからお好みで階層を辿って行けば、快適音楽ライフが待っています。
スマホへの転送
スマホ上の音楽再生アプリは、大抵カスタムで追加したタグには対応してないので、標準のタグに頼るしかありません。でも、基本的には、上で設定したタグ情報そのままでOKです。唯一の例外はボックスセット用の設定です。ボックスセット内の個別のディスク/アルバムをスマホ上で個別のアルバムとして表示したい場合は、アルバム名を "[ボックスセット名] - [ディスク名]" などに直して転送する必要があります。GROUPタグがALBUMタグの上位階層として振る舞ってくれれば、こんな事はしなくて済むのですが、MinimServer上は逆の階層として扱われるのでやむなしです。
また、iPhoneのように高ビットレートに対応していない端末や、容量に制限がある端末には、ハイレゾ音源はダウンサンプリングして転送します。その場合はオリジナルのファイルと混同しないよう、"Station To Station [24bit/48kHz]" といったようにアルバム名の最後にビット深度+ビットレート情報を追記します。